
空き家はなぜ増加しているのか?理由と今後の動向を解説
ここ数年、ニュースや身近な会話の中で空き家という言葉を耳にする機会が増えていませんか。
なんとなく問題だとは感じていても、実際になぜ空き家が増加しているのか、今後どれくらい増えるのかは、意外と知られていないのが現状です。
しかし、自分や親族が家を所有している人にとって、このテーマは決して無関係ではありません。
人口減少や高齢化、相続の問題、住宅市場の変化など、さまざまな理由が複雑に重なり、空き家は静かに、しかし確実に増え続けています。
本記事では、統計データを踏まえながら、空き家の現状と増加の理由、そして今後の傾向まで、順を追って分かりやすく整理していきます。
読み進めることで、自分の家や実家をどう考え、どのタイミングで動き出すべきかのヒントも見えてくるはずです。

空き家はどれくらい増えている?現状整理
総務省統計局の「住宅・土地統計調査」によると、2023年時点の全国の空き家数は約900万戸で、空き家率は13.8%と過去最高水準になっています。
1978年調査と比べると空き家数は約3倍に増えており、直近30年程度で見ても大きく増加してきたことが分かります。
また、前回2018年調査からもおよそ50万戸増えており、空き家問題は今も進行形の課題になっているといえます。
空き家は、「賃貸用の空き家」「売却用の空き家」「二次的住宅」「その他の空き家」に区分されています。
最新の調査結果では、空き家全体の中で賃貸用が最も多く、次いで「その他の空き家」が大きな割合を占めています。
一方で、売却用や二次的住宅は全体に占める比率が比較的小さく、居住や利用の見込みが立たない「その他の空き家」が増えていることが、問題の深刻さにつながっています。
さらに、空き家の発生状況には都市部と地方で違いがあります。
人口が集まる都市部では、古い賃貸住宅や供給過多となった分譲住宅の空き家がみられる一方で、人口減少が進む地域では、居住者のいなくなった持ち家が「その他の空き家」として残りやすい傾向があります。
長期的な人口減少と世帯構成の変化が続く中で、今後も地域によっては空き家率の上昇が懸念されており、早めの対策や利活用の検討が重要になっています。
| 区分 | 概要 | 空き家問題との関係 |
|---|---|---|
| 賃貸用の空き家 | 入居者募集中の住宅 | 需要次第で活用可能 |
| 売却用の空き家 | 売却市場に出ている住宅 | 価格調整で流通期待 |
| 二次的住宅 | 別荘やセカンドハウス | 利用頻度低い空き家 |
| その他の空き家 | 長期不在の持ち家等 | 老朽化や管理不全の懸念 |
空き家が増加する主な理由と背景要因
空き家が増える大きな要因として、人口減少と高齢化、そして単身世帯の増加があります。
国立社会保障・人口問題研究所の将来推計では、総人口が長期的に減少する一方で、高齢者の割合は上昇し、今後もしばらく高齢化が進むと見込まれています。
また、世帯数の将来推計では、単身世帯の割合が高まることが示されており、特に高齢単身世帯の増加が顕著です。
このように、世帯の小規模化と高齢化が進むことで、居住者がいなくなった住宅が空き家として残りやすい構造になっているのです。
次に、相続で取得した住宅が「使わないのに手放せない」状態になることも、空き家増加の一因です。
相続人が遠方に住んでいる場合や、自宅をすでに所有している場合には、相続した住宅を自ら利用することが難しくなります。
一方で、相続登記や名義整理、売却に伴う各種手続きには時間と手間がかかるうえ、必要書類の収集や関係者間の合意形成が負担となりがちです。
さらに、実家への愛着や思い出が手放す決断をためらわせるため、結果として利用予定のない住宅が長期間空き家として残ってしまいます。
加えて、住宅の過剰供給や立地のミスマッチも、空き家の固定化を招いています。
人口が減少する中でも、新築住宅の供給は一定程度続いており、新しい住宅を選好する傾向が根強いことが指摘されています。
その結果、築年数が古い住宅や利便性の低い場所に立地する住宅は、入居希望者が見つかりにくくなります。
こうした住宅は、所有者が活用方法を見いだせないまま時間が経過し、売却や賃貸への転用が進まず、空き家として地域にとどまり続けるのです。
| 背景要因 | 空き家へのつながり方 | 所有者に生じる課題 |
|---|---|---|
| 人口減少・高齢化 | 家族構成変化による住まい余り | 利用予定不明の住宅の管理負担 |
| 相続による取得 | 使わない実家の長期空き家化 | 登記・手続き・親族調整の負担 |
| 住宅供給と立地ミスマッチ | 古い住宅・不便立地の入居難航 | 売却・賃貸への活用策検討の難しさ |
なぜ空き家は放置されるのか?所有者心理とコスト
空き家をどうするか考える場面では、まず解体やリフォームにかかる費用の大きさが問題になります。
国土交通省や建設物価調査会等のデータを基にした民間調査では、木造住宅の解体費用はおおむね坪あたり約3.5万〜6万円とされており、床面積が広いほど総額負担も重くなります。
さらに、建物内に残った家具や家電などの残置物撤去には別途数十万円規模の費用が発生する事例もあり、所有者は「今は動かず様子を見る」という選択をしがちです。
このように、まとまった支出を伴うため、結果として判断が先送りされ、空き家が長期放置されてしまう傾向があります。
また、費用だけでなく、登記や相続に関する手続きの負担も、空き家が放置される大きな要因です。
国土交通省の令和6年空き家所有者実態調査では、空き家の取得理由として相続が過半数を占めており、相続開始後も名義変更や登記が済んでいないケースが多いことが明らかになっています。
相続人が複数いる共有名義の場合、売却や解体には全員の合意が必要となるため、意見調整に時間を要し、最終的な方針決定が進まないまま年月だけが経過しやすい状況です。
こうした権利関係の複雑さが、所有者の意思決定を難しくし、結果として空き家の管理や活用が後回しになる実情があります。
さらに、実家や親族の家に対する感情面も、空き家が放置される背景として見逃せません。
前述の実態調査では、「思い出があるため建物を残したい」「将来利用するかもしれない」と考える所有者も一定数おり、具体的な利用計画がないにもかかわらず現状維持を選ぶ傾向が示されています。
しかし、時間の経過とともに建物は老朽化し、修繕費用や近隣への安全面のリスクはむしろ高まっていきます。
感情的な迷いから判断を先延ばしにしているうちに、管理が行き届かない空き家となり、所有者自身にとっても地域にとっても負担が増してしまう点が大きな課題です。
| 要因区分 | 具体的な内容 | 空き家放置への影響 |
|---|---|---|
| 経済的負担 | 解体費用や残置物撤去費用の高さ | 判断先送りによる長期放置 |
| 権利関係 | 相続登記未了や共有名義の調整難航 | 売却や解体の合意形成の遅れ |
| 所有者心理 | 思い出や将来利用への期待 | 具体的活用策の検討遅延 |
今後空き家はどうなるか?将来予測のポイント
総務省の令和5年住宅・土地統計調査では、全国の空き家数は約900万戸、空き家率は13%台と示され、今後も増加傾向が懸念されています。
一方、国立社会保障・人口問題研究所の将来推計では、日本の総人口と世帯数は中長期的に減少に向かう見通しです。
つまり、住宅ストックが大きく減らないまま居住者側が縮小するため、空き家率は地域によってさらに二極化する可能性があります。
特に人口減少が著しい地域では、空き家の集積が進みやすい点に注意が必要です。
こうした状況を受けて、空き家対策に関する制度も強化されています。
空家等対策特別措置法の改正では、管理不全空家に対する勧告や指導の仕組みが拡充され、固定資産税の住宅用地特例が見直される場合があるとされています。
また、不動産の相続登記義務化により、相続発生から一定期間内の登記申請が求められることで、所有者不明化を防ぎ、自治体による対策が進めやすくなることが期待されています。
これらの法改正は、所有者に対して「管理」と「活用」を意識した対応を促す方向に働いています。
もっとも、制度が整っても、個々の空き家が自動的に解決に向かうわけではありません。
老朽化が進む前に売却・賃貸・活用・解体の方針を早期に検討し、専門家へ相談することで、価値の下落や管理コストの増大を抑えやすくなります。
また、相続が発生する前から家族で将来の利用方針を話し合っておくことも、「負動産」として抱え込まないための有効な対策です。
空き家を長期放置せず、早い段階で情報収集と具体的な選択肢の整理を進めることが、今後ますます重要になります。
| 将来の空き家動向 | 関連する制度改正 | 所有者に必要な対応 |
|---|---|---|
| 人口減少に伴う空き家率上昇 | 将来推計人口・世帯数の公表 | 地域の需給見通しの把握 |
| 地域間での空き家の二極化 | 空家等対策特別措置法の改正 | 管理不全化リスクの確認 |
| 所有者不明土地・建物の抑制 | 相続登記の義務化 | 早期の登記・権利関係整理 |
| 空き家の長期放置による価値低下 | 固定資産税特例の見直し | 売却や活用の早期検討 |
まとめ
空き家が増加している背景には、人口減少や高齢化、相続問題、住宅の過剰供給など複数の要因が重なっています。
その一方で、放置すれば老朽化や固定資産税などのコストがかさみ、「負動産」となってしまうおそれがあります。
空き家は、早めに専門家へ相談することで、売却や賃貸、活用方法など複数の選択肢を検討できます。
「うちも空き家予備軍かも」と感じた段階でご相談いただくことで、将来の不安や手間を小さくできます。
所有している建物や実家について気になる点があれば、まずはお気軽にお問い合わせください。